
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
・iDeCo(確定拠出年金)の3つのメリットとは?
・iDeCoの嘘とは?
本記事の信頼性
駆け出しの投資家(積立長期保有)ですが、日々勉強しています。
・企業型確定拠出年金を実際に運用中
・投資関連の本10冊以上読了
・投資系インフルエンサーや専門の記事20記事以上読了
今回は、「知らないと損するiDeCo(確定拠出年金)のメリットの嘘」をご紹介します。
目次
1.iDeCoの3つの節税メリット
まずは、よく耳にするiDeCoの3つの節税メリットから解説します。
(1)【積立時】毎年、所得税と住民税が軽減
掛金に応じて、所得税と住民税が軽減されます。
最大掛金は、人によって異なりますので、iDeCoシミュレーションで確認ください。
掛金を毎月1万円(年間12万円)積み立てた場合、節税額は以下とおりです。
■年収600万円(配偶者控除あり)
・12万円×20%(所得税10%+住民税10%)=2.4万円
■年収600万円(配偶者控除なし)
・12万円×30%(所得税20%+住民税10%)=3.6万円
手取り金額で、年収600万円であった場合は年間「2.5万円~3.6万円」節税できます。
所得税の計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
-
-
【図解】源泉徴収票の読み方、手取り年収(可処分所得)の計算方法を知ろう!
MLP絶賛テレワーク中の妻子持ちサラリーマンのMLPです。 ・源泉徴収票の読み方ってよくわからないな。。 ・手取り年収って、支払金額(額面年収)の隣の金額じゃないの? ・源泉徴収税額って何? と疑問を ...
続きを見る
(2)【運用時】運用利益に税金がかからない
運用して利益が出ても税金0円です。
通常は、所得税・住民税などで20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで運用した場合は、運用益が全て非課税となります。
1万円の利益が出た場合の税金
・一般の証券口座等:2,031円
・iDeco:0円
(3)【受取時】年金でも一時金(全額)でも一定額まで非課税
年金でもらっても一時金(全額)でもらっても一定額まで非課税です。
30年積み立てて一時受取
・1,500万円まで非課税
※非課税枠は退職金と合算した金額に対してです。
※積立期間により控除額が変わります。
65歳からの年金受取
・年120万円まで非課税
※非課税枠は公的年金と合算した金額に対してです。
※65歳未満は年70万円までです。
2.iDeCoのメリットの嘘
iDecoには3つの節税メリットがあると解説しましたが、3つめの受取時の非課税メリットに、巧妙な嘘があります。
なんと、勤続年数が40年で退職金を2,200万円以上受け取れる場合は、iDecoで積み立てた金額の全てに課税されます。
節税と言いますが、税金を先送りにした過ぎません。
しかも、所得税・住民税、社会保険料を引かれた「手取り収入」を使い、リスクをとって運用した金額に対し課税です。
さらに、その課税対象は「運用益」だけでなく、「元金」まで課税されます。
手取り収入になる前に所得税・住民税を取られ、さらに受け取り時には退職所得と見なされ、課税される二重課税です。。。
退職金がない方には確かにメリットですが、40年勤めて2,200万円以上の退職金が出る企業に勤めている方には、メリットではありません。
3.iDeCo受取時の税制について
退職金とiDecoを合算した金額が、退職所得とみなされます。
退職所得の控除額は、以下の計算式で算出します。
退職所得控除額の計算
勤続年数別の退職所得控除額は以下のとおりとなります。
・10年:400万円
・20年:800万円
・30年:1,500万円
・40年:2,200万円
控除枠を超えた額の1/2が課税対象となります。
課税額は、以下の計算式で算出します。
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:国税庁HP)
課税所得金額別の課税額は以下のとおりです。
・100万円:2.5万円
・500万円:7.25万円
・1,000万円:11.4万円
・1,500万円:93.9万円
・2,000万円:120.4万円
・3,000万円:320.4万円
ちなみに、900万円を超えると、税率が23%から33%と一気に10%も上がるため、課税額が跳ね上がります。
1,500万円の場合の計算式は以下のとおりです。
【計算式】
・1,500万円×0.5×0.33-153.6万円=93.9万円
500万円から1,000万円では、税金の差は約4万円ですが、1,000万円から1,500万円では、約82万円の差が生まれます。
そのため、受取金額による税率の違いには注意が必要です。
4.シミュレーション
40年勤め上げ退職金が2,200万円で、iDeCo(確定拠出年金)が1,500万円であった場合のシミュレーションを行います。
退職所得控除の計算式に当てはめると、2,200万円は非課税です。
しかし、2,200万円を超える金額については課税対象となるため、1,500万円には課税されます。
1,500万円の課税金額は、上記で解説したとおり「93.9万円」です。
仮に、年収600万円で30歳から100万円を確定拠出年金の口座に移管し、月1万円の積み立てを30年間行った場合の所得税と住民税の減税金額は「94.1万円」です。
つまり、節税と謳われていた金額は全て相殺されます。
・退職所得1,500万円の税金:93.9万円
・月1万円iDeCoで積み立てた場合の節税効果:94.1万円
確かに、運用益に対しては非課税ですが、最大のメリットとして謳われている所得税と住民税に関しては、課税の先送りでありメリットはありません。
これが、iDeCoのメリットの嘘です。
退職金が多く貰える方は、慎重に検討のうえ、iDecoを利用するか判断するようにしましょう。
5.まとめ
iDeCo(確定拠出年金)は、積立時、運用時、受取時において、税制上のメリットがあります。
しかし、退職金が多い場合は、受取時にiDeCoで積み立てを行った金額の全てに課税されるリスクがあります。
条件によっては、積立時に所得税・住民税を節税した金額が丸々、受取時に課税される事態になることがあります。
これが、iDeCoのメリットの嘘です。
ご自身の退職金の受け取り金額をシミュレーションした上で、iDecoの開始は慎重に検討するようにしましょう。
では、また!