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本記事の内容
・人を変える9原則
(相手からイエスを引き出す方法)
本記事の信頼性
・デール・カーネギー著「人を動かす」から「人を変える9原則」を紹介します。
・1939年に発売され、世界1,500万部売り上げた歴史的ベストセラーです。
・ビジネスマン問わず必読の1冊となっています。
目次
1.人を変える9原則
(1)まずほめる
■主旨
人にお願いをする際は、どんな状況であっても、まず第一にほめる。
■理由
人は、ほめられ後では苦言であったとしても、たいして苦く感じないものだからです。
■具体例
【例1】
マッキンレー元アメリカ大統領。
大統領選挙の演説の草案を共和党員が作成するが、使い物にならなかった。
そこで、マッキンレーは彼に言った。
「これだけの演説の原稿が書ける者は、まずいない。」
「君の立場からすれば、これほど立派なのものはないが、私は党の立場から考えてみなくてはならない。」
「どうだろう、私の主旨に沿って、もう一度書いてくれないか。」
結果、相手は心得して、マッキンレーの言うとおりに書き直し、その後、有能な応援弁士として大活躍。
【例2】
フィラデルフィアのワーク建設会社のゴウ氏。
ある建築工事を請け負っていたが、一部の協力業者から期日に納品ができないと通知あり。
竣工一歩手前で、工事全体がストップする事態に陥る可能性があった。
そこで、ゴウ氏が事態打開の役目を仰せつかり協力会社へ。
協力会社の社長に会うと開口一番「珍しい名字だ」と伝えると、社長が自身の家族や先祖の話を誇らしげに話し出す。
次に、工場の規模や設備をほめ、工場を見学し施設や制度をほめ、珍しい機械を見て感心をする。
その機械は自分が発明したと社長。
機械を操作して見せ、昼食も一緒にしようと言って聞かない。
昼食が済むと社長から
「あなたがいらっしゃった目的は承知している。あなたとこんなに楽しい話をしようとは予想していなかった。」
「他の注文は遅らせても、あなたの方はきっと間に合わせますから、安心してお帰りください。」
ゴウ氏の方から何も頼まずして、目的を完全に達成した。
■具体的な行動方法
相手に関心を持ち、相手が得意とすることを見つけ、まず第一にほめましょう。
人は論理よりも感情で動くため、いきなり苦言を呈されたのでは、それが正論であっても全く耳に入りません。
だからこそ、相手がどんなことをほめられたいのか相手の立場で考え、まず第一にほめることが重要です。
まず第一にほめられる人は、人を変えられます。
(2)遠回しに注意を与える
■主旨
ネガティブな言葉ではなくポジティブな言葉で伝え、相手に気づかせる。
■理由
人は自ら気づけると、すぐに行動できるからです。
■具体例
【例1】
子どもに”代数”の勉強をさせたい親。
ほんの一言の違いが、成功と失敗の分かれ目になる。
”しかし”を”そして”に変える。
<失敗>
「お前の今学期の成績が上がって、本当に鼻が高いよ。」
「”しかし”、代数をもっと勉強していたら、成績はもっと上がっていたと思うよ」
→”しかし”という言葉を聞いた途端、最初のほめ言葉は批判するための前置きにすぎないと思え、信頼感が鈍り、勉強への姿勢がネガティブに。
<成功>
「お前の今学期の成績が上がって、本当に鼻が高いよ。」
「”そして”、来学期も同じように勉強を続ければ、代数だって他の科目と同じように成績が上がると思うよ。」
→ほめ言葉の後に批判が続かないため、素直に耳を傾け、期待に応えようと努力する。
【例2】
住宅増築の工事会社の職人に、後片付けをさせたい女性。
苦情を言いたかったが、職人が帰宅した後、自分の子どもと一緒に木屑を片付けた。
翌朝、現場監督の男を呼んで言った。
「昨日は、あなた方の後始末がとてもよくて、きれいに片付いていたので、お隣から苦情も出なかったし、とても喜んでいます。」
その日から、職人たちは後片付けをするようになった。
■具体的な行動方法
”しかし”という言葉で苦言を呈したくなった時は、”そして”に言葉を変えて、ポジティブに相手に伝えましょう。
行動を促すには、相手が自ら気づくきっかけを与えることが重要です。
そのためには、ネガティブな言葉で感情を煽るのではなく、ポジティブな言葉で一歩前に進ませるアプローチが大切です。
嫌味にならないように注意しましょう。
ポジティブな言葉で気づくきっかけを与えられる人は、人を変えられます。
(3)自分の過ちを話す
■主旨
人に小言を言う場合、「自分は決して完全ではなく、失敗も多いが」と前置きする。
■理由
自分の失敗から先に話すと、相手はそれほど不快な思いをせずに済むからです。
■具体例
【例1】
カナダのブランドンの技師。
新しく雇い入れた秘書に手紙をタイプさせると、1ページに必ず2〜3ヶ所の誤りがあった。
誤りのあった単語について、自分自身もいつも悩まされており、自作の単語帳を調べるんだと見せた。
そしてさらに言った。
「単語の綴りにはとても気を遣っている。」
「世間の人は、手紙の綴りに間違った単語があると、私たちの技術にもどこか欠陥があるような印象を与えるんだよ。」
結果、秘書のタイプミスは目立って減った。
【例2】
15歳の息子が煙草を吸っているの見つけた母親。
夫婦とも喫煙家であった。母親は息子に言った。
「あなたと同じ年頃に吸い始め、やめられなくなり、咳に悩まれている。」
「私に煙草をやめさせようとして、色々気を遣ってくれたのは数年前ではなかったか。」
息子は、高校卒業まで煙草は吸わないと決心し、その後何年たっても、煙草を吸わなかった。
母親もまた禁煙に成功した。
■具体的な行動方法
相手に気づきを促す前に、まず似たような自分の失敗談を話す。
自分自身も完全ではなく、失敗のある人間だと伝え、心の距離を縮めることが重要です。
上から目線の言葉にならず、相手が自分自身を見直すきっかけを与えられます。
まず自分の失敗談から話せる人は、人を変えられます。
(4)命令をしない
■主旨
命令を質問の形に変え、自主的にやらせる機会を与える。
■理由
相手の自尊心を傷つけず、重要感を与えられ、反感の代わりに協力の気持ちを起こさせるからです。
■具体例
南アフリカの精密機械部品を専門に製作する小さな工場の支配人。
ある時、非常に大きな注文が取れそうだったが、工場ではすでに予定がぎっしりで、納期を守れる自信がなかった。
支配人は、従業員に突貫工事を命令するのではなく、経緯や受注できた際の意義を説明した上で質問した。
「この注文をさばく方法があるのか?」
「この注文を納期に間に合わせるために、どんなやり方があるか?」
「作業時間や人員配置をどうしたら良いか?」
結果、従業員は注文を受けるべきだと主張した。
■具体的な行動方法
相手にお願いをするときは、質問し意見を求めましょう。
質問で投げかけ、相手に決定権を委ねることが重要です。
気持ちよく受け入れてくれるばかりか、相手に創造性を発揮させることもあります。
また、自分で決めた手前、やり抜こう・やり方を直そうしてくれます。
命令せず質問し、意見を求められる人は、人に好かれます。
(5)顔をつぶさない
■主旨
相手の顔を立てる。
■理由
相手の自尊心を傷付けると、自己嫌悪に陥れさせたり、反感を買ったりするからです。
■具体例
【例1】
ペンシルバニア州の製造会社の副社長と主任。
生産会議で、副社長は主任の手際の悪さを槍玉にあげ、激怒し嘘つきとまで罵った。
主任はもともと優れた社員だったが、この日以来、会社にとって無用の人物となった。
数ヶ月後、主任は競合会社に転職し、大活躍した。
【例2】
フランス航空界のパイオニアで作家のサンデグジュペリ。
「大切なことは、相手を私がどう評価するかではなく、相手が自分自身をどう評価するかである。」
「相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪。」
■具体的な行動方法
相手の心情を理解・共感し、認めましょう。
自尊心を傷つけないよう、相手を理解し、自分が相手の立場なら、どう言ってもらいたいか考えることが重要です。
相手の尊厳は保たれ、トラブルなく、お互いに前に進めるようになります。
人の気持ちを理解し、相手の顔を立てられる人は、人に変えられます。
(6)わずかなことでもほめる
■主旨
わずかなことでも惜しみなく心からほめる。
■理由
相手の心の中に隠された宝物の存在に気づかせることができたら、単にその人を変えるだけでなく、別人を誕生させることもできるからです。
■具体例
【例1】
・心理学者ジュス・レアー
「ほめ言葉は、人間に降り注ぐ日光なようなものだ。」
「それなしには、花開くことも成長することもできない。」
・心理学者B・F・スキナー
人間や動物の実験によって、批判を控え、ほめる方に力点を置けば良い行動が定着し、悪い行動は抑制されることを立証
【例2】
オペレ歌手のエンリコ・カルーソー。
10歳くらいのとき教師から「君には歌は向かない」と落胆させられる。
彼の母は貧しい農民であったが、彼を抱いて優しく励ました。
「お前はきっと立派なが声楽家になれるよ。」
「その証拠にお前はだんだんうまく歌えるようになってきた。」
母は懸命に働き、息子に音楽の勉強をさせた。
この母の賞賛と激励がオペラ史上における有名なテノール歌手を誕生させた。
【例3】
ノースカロライナ州の夫婦。
子どもたちの悪さを怒鳴りつけるが、逆にひどくなり、とめどがなかった。
講習会でほめる重要性を学び、悪いところを咎めるのはやめ、良い点をほめることにした。
子どもたちから、問題点が次々消え、ほめ言葉を受け止め、長所を伸ばす努力をし始めた。
■具体的な行動方法
相手をよく観察し、良いところを見つけて、わずかなことでも心からほめましょう。
うわべだけのお世辞には、人は反発を覚えるため、心の底からほめることが重要です。
批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開きます。
わずかなことでも惜しみなく心からほめる人は、人を変えられます。
(7)期待をかける
■主旨
相手のある点について矯正したいと思えば、その点ついて既に人より長じていると伝える。
■理由
良い評判を立てると、その人はあなたの期待を裏切らないように努めるからです。
■具体例
【例1】
アイルランドの歯科医院の院長と清掃婦。
ある日、院長は患者から口すすぎ用の紙コップの金属製ホルダーが汚れていると言われ、愕然とした。
院長は清掃婦へ手紙を書いた。
「診療室をいつもきれいに掃除してくれてありがとう。」
「ところで、週1回1日2時間では、時間が少なすぎませんか。」
「紙コップのホルダーのように時々手入れすれば良い仕事に、
時には30分ほど余分に時間を掛けたいと思う場合があれば、
その分の給料は加算するため、ご自由に時間を延長ください。」
結果、紙コップのホルダー含め、机や椅子までも磨き込まれていた。
しかも、時間の延長はゼロだった。
【例2】
ニューヨークの小学校教師と学校一の悪ガキ。
教師は、新学期から学校一の悪ガキを受け持つことになった。
授業中に規律を乱し、男子には喧嘩を仕掛け、女子をからかい先生には生意気だが、物覚えが早く、授業内容を楽々こなす長所があった。
教師は、新学年の初日に、生徒の一人一人をほめ、悪ガキもほめた。
「君は生まれ柄のリーダーなんだってね。」
「先生は、このクラスを、一番いいクラスにしたい。」
「それには、君が一番の頼りよ。頼むわね。」
教師は、最初の数日間、悪ガキ生徒の行動をいちいちほめ、確かに良い子だと断言した。
良い評価を与えられた悪ガキ生徒は、評判どおりになろう、先生と期待を裏切るまいと努力した。
■具体的な行動方法
改善してもらい点があれば、それをあなたの長所だとほめましょう。
どこかいい側面を見つけて、それに敬意を表すことが重要です。
敬意を示すことで、相手はあなたの期待に応えようと努力するようになります。
短所をポジティブな表現に言い換え、相手に期待をかけられる人は、人を変えられます。
(8)激励する
■主旨
激励して、能力に自信を持たせる。
■理由
激励ではなく批判すると、相手の向上心の芽を摘み取ってしまうことになるからです。
■具体例
【例1】
天才ブリッジ(カードゲーム競技)教師のエリー・カルバートソン。
1922年に哲学・社会学の教師になるため渡米したが、勤め口がなかった。
そこで、「石炭販売」をやったが失敗、その後の「コーヒー販売」も失敗。
当時、トランプ競技は下手で、ブリッジ教師になるつもりはなかった。
ところが、ある日、ブリッジ教師の女性と知り合い結婚。
妻は彼が綿密にカード分析し考えている様子を見て、
「あなたには、素晴らしい素質がある」とほめた。
妻の言葉がなければ、彼はブリッジの道で飯を食って行くことはできなかった。
【例2】
交通事故で頭に大怪我をした息子と父親。
息子は、知的障害はなかったが、額にひどい傷跡があったため、15歳まで特別学級に入れられていた。
そのため、掛け算も覚えておらず、足し算も指を使うレベルで、字もろくに読めなかった。
しかし、ラジオやテレビをいじるのが大好きという、唯一の長所があり、テレビ技師になりたいとの夢があった。
そこで、父親は、息子を励まし、テレビ技師になるには、数学が必要と話した。
父親は算数のカードを4組用意し、毎晩勉強を手伝い、正しい答えが出せたたびに、大袈裟に喜んで見せた。
ゲーム感覚で数学を学んだ結果、「勉強はやさしく面白いものだ」と彼は発見した。
結果、数学だけでなく理科や読み書き、絵画などあらゆる才能が開花し、
理科祭で1等賞をとり、高校では全国優等生協会のメンバーに選出された。
■具体的な行動方法
相手の良いところを見つけて、ほめて励まし、能力に自信を持たせましょう。
どんな人でも人よりも優れたところがあるため、そこを具体的にほめることが重要です。
勇気づけ、相手の能力を信じていると伝えることで、相手は自分の優秀さを示そうと懸命に頑張ってくれるようになります。
相手に激励する人は、人に好かれます。
(9)喜んで協力させる
■主旨
相手に重要感やメリットを与える。
■理由
重要感やメリットを与えることで、自ら進んでやろうとするからです。
■具体例
【例1】
ウッドロー・ウィルソン元アメリカ大統領の親友ハウス大佐。
1915年ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ最中であっため、大統領は当事国に平和使節団として「ハウス大佐」を派遣することにした。
平和主義を標榜する「国務長官のブライアン」は、その役目を引き受けたがっていた。
ハウス大佐は、ブライアンにその事実を伝える役割も担い、彼に伝えたところ、彼は失望の色を顔に浮かべた。
そこで、ハウス大佐は彼に言った。
「大統領は、今回の使節団を公式にやることは賢明な策ではないという意見を持っている。」
「だから、ブライアンが行くことになれば、世間の注目を引き、具合が悪いだろうと言っていた。」
ブライアンはあまりに大物すぎて、この任務に相応しくないということ。
彼はすっかりに満足した。
【例2】
果実の農家の父親と息子。
息子は、洋梨の落果を拾い集める仕事嫌がった。
そこで、父親は息子に提案した。
「洋梨を籠一杯につき1ドルで買う、しかし、後で見回り洋梨をが落ちていたら、1個につき1ドルずつ差し引く。」
結果、息子は落果を1つ残らず拾い集めるようになった。
■具体的な行動方法
あなた”なら”できる、あなた”しか”できないなどと重要感を与えたり、メリットと提示したりしましょう。
人は誰かに認められたいという欲求を持っており、自分の利益になることに興味があるため、重要感やメリットを与えることが重要です。
重要な人物であることや相手が欲している利益を伝えることで、自ら進んで協力してくれるようになります。
喜んで協力させる伝え方ができる人は、人を変えられます。
2.まとめ
人を変えるには、9つの原則があります。
①まずほめる
②遠回しに注意を与える
③自分の過ちを話す
④命令をしない
⑤顔をつぶさない
⑥わずかなことでもほめる
⑦期待をかける
⑧激励する
⑨喜んで協力させる
人の立場に身を置き(上記③、④)、批判せず(上記②、⑤)、相手に重要感を持たせる(上記①、⑥、⑦、⑧、⑨)ことで、人を変えることができます。
つまり、カーネギーの「人を動かす3原則」の土台に上に、人を変える9原則が成り立っていると言えます。
人に興味を持ち、批判せずにほめ、相手の利益を考えることが、人を変えるにはとても重要です。
では、また!